2015/10/31
最も簡単なディテール工作 穴あけディテールの話
前回は丸穴のモールドの底面に影色を付けて穴に見せる処理のお話でしたが、今回は実際に小径の穴をあけてディテールを追加する工作のお話です
タイトルに「最も簡単な・・」とつけたのは、実はスジ彫りや、マイナスモールドなどの彫刻系のディテール追加工作は難易度が高く、苦手な方も多いと思います。正直僕も苦手ですw。
しかし穴あけならば、ピンバイスで簡単に工作することができます。しかもかなり効果的で、簡単に精密感が上がり、きれいに仕上がり、満足感も高いです。

上記◯のようなディテールですよ
穴の開け方

ピンバイスを使いますが、ドリル径は1/144くらいの小さいスケールでしたら、0.7mmでOKでしょう。余談ですが実はこの0.7mmはウチではかなり汎用性が高く、虫ピンを使った軸打ちなどでも大活躍です。0.7mm径のドリルが付いたピンバイスが用意できたら、穴の欲しいポイントに穴をあける。それだけです。
0.7mm以外にも常時0.5mm、1.2mm、1.5mmをチャッキングしてスタンバらせています
穴を開ける際に貫通させるか、途中で止めるかは好みですが、撮影時に意外と穴の向こうの光が穴から抜けて見えるときがあるので、開口部がない閉じた部品は貫通で、その他の場所は途中止めがいいでしょう。
もうひと手間かけるとすれば

こんな風に穴の外周にC面がとってある穴を見かけたことはあると思いますが、それはこのような形状のリューターのビットを使います。(ウチではだいたい1.7mm径の球状のビットを使っています。)


すでにあけた穴にビットをあて、軽く回転するだけで、面取りすることができます。あ、もちろん手作業ですよ。このビットもピンバイスにチャッキングしておくと便利です。単に穴をあけただけでは、その穴の開いている装甲が、厚いものなのか、薄いものなのか判断できませんが、面をつけるとそこそこ厚みを持った装甲ということがわかりますし、頑丈さもかもし出されてくると思います。この加工には見た目のよさともう一つ効果があり、穴の開けただけでは穴の周囲に「めくれ」がでてしまい、軽くペーパーでならす必要がありますが、面をつけるとめくれとともに削られ、きれいに仕上がることも期待できます。
削る程度がわからないうちは、面取りをサフを吹いた後に行うと削り量がわかりやすいです
さらにひと手間かけるとすれば
あけた穴に入るような極小の金属部品や球をはめ込むもよし、深めに面をとって0.5mmのプラ棒をさして、表面をツラにすることも効果的ですね。
最重要項目「どこに開けるか?」
、、でここまでが前振り、マクラです。実際最も重要なのは「どこにあければいいのか?」なのです。しかしこれは趣味なので「どこでもお好みに」が正解なのですが、参考までにウチではどのようにしているのかご紹介します。
実は15年くらい、どのようなMSを作っても穴を開ける場所は基本同じで、いつも迷わず以下の画像の○の箇所に開けています。


これは元を明かせばセンチネル系のMSのディテールから来ています。センチネルの別冊を通しで見て、かっこいいと思った穴位置を覚えて、アレンジして今に至っているわけです。つまりかっこよくなるお墨付きのあるものなので、誰が穴を開けてもいい感じになります。で、これだけ毎回毎回穴をあけ続けて、なんとなくわかったその他の穴あけのポイントを挙げますと、、
・正面ではなく側面に穴をあける
・全身まんべんなく開けず、粗密を付ける
・穴の数はひかえめに
・ボルトやナットではないので、四隅に開けない。一気にミリタリー調になってしまいます
・パーツの端や、どこかのディテールに寄り添った位置にあける
・○形状の周辺と相性がいい
・鋭角ではなく鈍角ディテールやグラフィックの周辺と相性がいい
、、といったところでしょうか?
え?何を言っとるかわからない??
じゃ、ひとつ例を挙げますと、、
○形状の周辺に
上記「○形状の周辺と相性がいい」というのは我ながら大発見でして、
以下のようにいろんなバリエーションが考えられます。(え?皆そう思ってる?)

○モールドの真ん中に穴をあければパイプが埋まっている状態にできる(円心に気を付けて)

大きめの○モールドの端に穴をあければ○モールドが回転しそうに見える
その他にも、、
○モールドや穴をあけたすぐそばにより小さい径の穴をあければ、ディテールの神がちょっと宿る(ホント)
外から○モールドが見えなくても関節などの軸が通っているであろう表面のそばはポイント
、、などなど
パチ組のキットでも上記のようなポイントに穴をあけるだけで、ディテール工作ができ、キットに自分なりの爪痕を残すことができる穴あけディテール。ホントおススメですよ。
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虫ピンの話 >> ピンバイスの径は0.7mm
ディバイダー、スプリングコンパス >> ディテールの位置決め