簡単に精度の高いディテールを作る方法

今回は簡単に精度の高いディテールを作る方法をご紹介します。

現在制作中(2019年6月)の旧キット1/60ガンダムフルハッチオープンモデルには、お手本になった有名な画稿がありまして、そこには頭を悩ませる難関ディテールがあちこちにあります。

DcK-2FjV0AApy7eのコピー-a
こことか(肩アーマーの凹丸ディテール)
こことか(胸とかの直列凹四角スリットディテール)
こことか(ふくらはぎの連続スリットディテール)

彫刻系ディテールの達人でしたら、すべてタガネやナイフで高精度なディテールが再現できるかもしれませんが、僕にはそのスキルがありません。
そこで考えた方法が「精度のある部品を埋めて再現しよう」です。

■最初に最も簡単な肩アーマー部分の凹丸ディテールからです
ここでは同じようなディテールとしてヒザの凹丸ディテールを説明しますね

IMG_0196_2019060810380071f.jpg
ざっくりとその作り方を言うと
「大きめの穴を本体に空けて、市販パーツを埋め、隙間やはみだし部分を処理する」、、です。
穴の径や深さは市販パーツで担保されているので、穴にセットするときに傾きさえ気にすればOK
隙間はパテなどで埋め、市販パーツの本体表面からはみ出した部分を削れば完成です
簡単でしょう?
DSC_0021-s_a.jpg
出来上がりはこんな感じです。

他にも同じディテールを表現する手法はありますが、なぜ採用しなかったか?ですが、
その①スピンブレードという便利な道具があるのも知ってましたが、今回の目標サイズが大きく、また、道具がないから〇〇mmのディテールができないというのも不便です。
その②貫通穴をあけてプラ板を裏打ちする方法は凹の深さの調整がやりにくく、凹底面周辺の接着部分のスキや接着はみだしの処理がしにくい。
その③穴をあけたプラ板を表面に貼る方法は肩アーマー全体寸法が、表現したい穴の深さ分サイズアップしてしまうのが厳しい。
、、という検討を経て今回の手法に行きつきました。
ここはアイテムとプロセスによって各手法のメリットを生かして使い分ければいいのかと思います。

話はそれましたが、この手法を思いついてから、その他の難関ディテールの工作が一気に進みました。

■次に直列凹四角スリットディテールです。
DcK-2FjV0AApy7eのコピー-01a

このディテールも一言で作り方を言うと、
「本体に四角く穴をあけ、市販のコの字線材を埋め、隙間やはみだし部分を処理する」です(1つ目と同じやん)

図解-02

コの字線材を埋めた溝なので、3面の精度は確保できます。
こうして正確な幅、深さの溝を作って、溝の途中にプラ板で埋めて連続した「直列凹四角スリットディテール」化しました。
本体に空ける穴は水平、大きさなどの精度はほどほどでいいかと。
この場合、穴に市販のコの字線材を埋める時に、しっかり位置を定めてセットし、隙間をパテなどで埋めるといいと思います。
今回は最初に空けた穴が大きすぎたので、穴を2列構成にしたり、穴をそのまま残したり、変則的に埋めたり、スリット風の、だけどあまり見ない系ディテールに仕上げたりしました。

DSC_0021-sl-a.jpg
出来上がりはこんな感じです。

■3つ目のふくらはぎの連続スリットディテールです。
これも基本は上の2つと同じです。しかし基準となる市販パーツなどの成型品がありません
よって、精度の高い基準(この場合は水平のレイヤー)部品を自作して埋め込み、再現していく必要があります。

IMG_1052_20190608103758bdb.jpg

ざっくりいうと、ふくらはぎに四角い穴をあけ、こんな自作(プラ板貼り合わせ)部品を埋め込み、基準としました。
この穴にプラ板を等間隔で差し込み、隙間やはみ出した部分を処理します
水平は自作部品で、スリットの厚みはプラ板の厚みで担保されますので、あと気を付けるのはプラ板を貼る間隔ですね。
そこは接着剤が効かない素材(半透明プラケースの仕切り板など)で隙間と同じサイズの冶具を作って精度を確保しました。
せっかく水平レイヤーの部品を作ってふくらはぎ内にスペースを作ったので、内部にダクトをセットして、覗けばダクトが見える楽しさを追加しました。

DSC_0016_a.jpg
出来上がりはこんな感じです。

このように特別な技術や専門工具がなくても、切る、貼る、埋める、表面処理するという基本工作のステップを着実にこなしていけば、きれいに加工、表現できる手法の紹介でした。

そうそう、1つ気が付いたことがあるんですが、いづれの手法も基本工作の積み重ねなので、工程中に応用がかなり効きます。
2つ目の直列凹四角スリットディテールも3つ目の連続スリットも、画稿と違うディテールに進展したり、ふくらはぎにメカディテールをセットするという
楽しい寄り道ができ、模型を充実させることができました。
ひらめきから始まる工夫とその結果がすぐに体感できるも模型制作の醍醐味の一つですね。

続編を書きました(2019/06/08) 他キットからの移植によるディテール追加>>